西鉄バス北九州(小倉北区)は27日、中古のディーゼルバスを改造した電気バス「レトロフィット電気バス」の実証運行を始めた。公共交通の脱炭素化に向け、親会社の西日本鉄道(福岡市)が住友商事(東京)などと共同開発。既存の電気バスより導入コストが抑えられ、長距離の走行も可能という。
改造したのは2007年式の路線バス車両1台(定員67人)。ディーゼルエンジンを撤去し、住友商事が出資する台湾の電気バス製造会社が手がけたバッテリーを前輪上部や車両後部に計10個積んだ。車内にコンセントを設け、災害時には避難施設としても活用できる。
改造費は約3000万円で、西鉄が20年にアイランドシティ(福岡市東区)で導入した先行の電気バスより導入コストが半分以下になった一方、バッテリー容量は2倍になり、一度の充電で走行できる距離が大幅に伸びた。二酸化炭素(CO2)排出量は従来のバスに比べ約4割削減できると試算する。
西鉄は今年度内に電気バスを複数台導入する他、車両の改造ノウハウをグループ会社などに蓄積することで導入コストをディーゼルバス並みに抑え、全国のバス事業者向けの普及モデルを構築したい考えだ。
実証運行は12月までの予定で、路線バスの小倉~黒崎・折尾間を中心に朝夕の時間帯に走り、エアコン使用時などさまざまな状況下でデータを収集する。西鉄の山口哲生・自動車事業本部技術部長は「音が静かで振動がなく安定感もある。CO2削減になる取り組みを応援してほしい」と話した。
毎日新聞