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太陽光や風力といった再生可能エネルギーの利用が進むなか、近年注目されているが地熱だ。燃料はいらずいつでも発電できる利点がある。日本には世界有数の資源があり、九州は東北と並ぶ「地熱大国」とされる。事業化には課題もあるが、電力会社や温泉旅館などが取り組んでいる。作業員が配管の大型バルブを両手で回すと、「ゴー」という音と共に水蒸気が上がり始めた。数分で勢いが増し、「ジュー、ジュー」という轟音(ごうおん)が鳴り響く。風下は真っ白くなった。
九州電力は、大分県九重町の山間部にある山下池南部地域で、地熱発電所の可能性を探る噴気試験をした。蒸気の様子を見た担当者は「十分な量です。有望です」と話す。
九電の地熱発電所の出力は6カ所で計21・3万キロワット。1977年に運転を開始した大分県九重町の八丁原(はっちょうばる)発電所(11万キロワット)は国内で最大だ。
ただ、全体からみると地熱発電はごく一部にとどまる。九電全体の発電容量は1794万キロワット(2021年3月末時点)で地熱は全体の1・2%。原発の414万キロワットに比べてもかなり小さい。
地熱発電は全国的にも伸び悩んでいる。
政府は再生可能エネルギーを固定価格で買い取る制度(FIT)を2012年に始めた。太陽光は短期間に設置できることもあり、大幅に増えた。電源構成比は11年度の0・4%から20年度は7・9%になった。
資源エネルギー庁によると、FIT導入前の地熱の導入量は全国で52万キロワットだった。21年3月末には61万キロワットまで増えたが、電源構成比でみると0・3%しかない。
その中で九州は、地熱発電の7割が集中しており、地元温泉旅館も参入「噴気を電気に」の合言葉で町おこしとして推進している。
朝日新聞デジタル