三菱重工業は日本原子力研究開発機構と、次世代原子炉の高温ガス炉で大量の水素を製造する実証を始めた。900度C以上の核熱を利用することで、原子力エネルギーを発電だけでなく水素製造にも生かす。2030年までに技術を開発する方針。実用化後は国内の二酸化炭素(CO2)排出量の約14%を占める鉄鋼業での水素還元製鉄への活用など、産業界の脱炭素化への貢献を目指す。
原子力機構の高温工学試験研究炉(HTTR、茨城県大洗町)で実証する。高温ガス炉に水素製造設備を新たに接続し、HTTRから得た高温熱を活用して大量製造する。
22年度は水素製造設備の設計や実証炉を見据えた高温隔離弁などの機器の開発計画を検討する。
鉄鋼業では、高炉に投入するコークスの一部を水素で代替し、段階的に水素の添付割合を高めてCO2を低減する水素還元製鉄の実用化が、カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)に不可欠だが、大量の水素を必要とする。三菱重工は高温ガス炉で製造した水素を主に水素還元製鉄向けに提供する。