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地球環境産業技術研究機構(RITE)の木下朋大主任研究員と余語克則グループリーダーらは、圧力損失の低い二酸化炭素(CO2)吸収材を開発した。球状ビーズに担持した従来材に比べてCO2吸収量が約1・4倍に増えた。大気からCO2を回収する際のエネルギー効率を高められる。カーボンニュートラル(温室効果ガス排出量実質ゼロ)の実現につなげる。
CO2を化学吸着するアミン化合物を固体担体の表面に固定する。担体の構造を工夫して空気を送り込む際の圧力損失を低減した。CO2吸収材の充填率は大きい。重量当たりの吸収量はビーズ担体の約1・4倍、ハニカム担体の約3倍になった。圧力損失が低いと吸収材に空気を送り込むポンプの電気代を抑えられる。
大気のようにCO2の濃度が低い条件では、吸収液方式に比べて固体担体方式のエネルギー効率が勝る。これはアミン化合物からCO2を放出させるための昇温効率が原因。吸収液方式は吸収液に含まれる水分の比熱が大きく、投入する熱の大部分が水の昇温に使われていた。固体担体方式は比熱の小さな材料を選べる。その代わりに圧力損失と吸収量の両立が難しかった。
放出温度が60―70度Cと低いアミン化合物の開発にも成功した。新担体と組み合わせ大気からの回収試験を進める。大気からのCO2回収技術は、すでに排出してしまったCO2を地下に埋めたり、炭素資源として利用したりするために必要になる。エネルギー効率を高めて実用化を目指すとのこと。
日刊工業新聞記事から抜粋