太陽光発電2割に土砂災害リスク、審査・監視追いつかず

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全国の太陽光発電設備(500キロワット以上)の2割が土砂災害リスクの高いエリアに立地していることが分かった。適切な管理がされていない開発は土地の保水力を低下させ、崩壊を招く恐れが増す。持続可能性を高めるには事業者による点検・管理、行政の監視強化など、防災対策が欠かせない。

土砂崩れで崩壊した太陽光発電施設

国立環境研究所(茨城県)が公表した調査結果では、出力500キロ・ワット以上の太陽光施設は全国に8725か所ある。
同研究所が作成した各施設の地図データから、警戒区域内に含まれるものを抽出。同じ警戒区域内で、施設の下方の土砂が流れる方向に住宅などの建物や道路、線路が存在するものを絞り込むと、少なくとも231か所あった。このうち、「特別警戒区域」に立地している施設も34か所確認できた。

231か所を都道府県別で見ると兵庫の22か所が最も多く、岐阜が15か所、長崎も14か所あった。

出力500キロ・ワットの施設の場合、敷設されたパネルの面積は計5000平方メートル程度になり、パネルが押し流されて住宅を破壊したり、道路を塞いだりするリスクがある。設置時に森林伐採や造成工事が行われていれば、災害発生の危険が高まっている可能性もある。

傾斜地への設置が相次いでいるのは、国が12年以降、再生可能エネルギーを推進しているためだ。総発電量に占める太陽光発電の割合は、11年度の0・4%から、20年度には7・9%に増加。設置する事業者にとっては平地より安価で、広い土地が確保しやすいという事情があるという。

条例で規制の自治体も

国の法律では、一定規模の伐採を伴うと森林法で排水設備などが求められるが、警戒区域でも太陽光施設の設置は禁じられていない。事業者は場所を問わず、経済産業省に電気事業法に基づく届け出をする必要があるが、審査は感電対策やパネル自体の強度などが中心で、その場所の災害リスクが主眼ではない。

政府は「GX(グリーントランスフォーメーション)脱炭素電源法案」で、事業者に対して設置前に住民説明会を開催することを義務付けたが、すでに設置されている施設への安全評価など課題は多いとのこと。

日経新聞記事等から抜粋

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