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政府は、2022年度に国内の海藻・海草に吸収・固定された二酸化炭素(CO2)由来の炭素「ブルーカーボン」を約36万トンと算定し、国連に報告する方針を固めた。今後、国内で排出された温室効果ガスの量から差し引いて、実質排出量を算出する。海藻・海草による吸収量を算定したのは世界で初めて。
地球温暖化対策として各国は、人類の活動による排出量から、植物の光合成などによる吸収量を差し引いた実質的な排出量を算出し、将来の削減目標を策定している。日本は実質排出量を30年度に13年度比で46%削減、50年までにゼロとする目標を掲げ、最新の数値を国連に毎年報告している。
各国は、植物のうち、海藻・海草による吸収量については算定方法が確立されていないなどの理由で、国連に報告していない。そこで政府は、ワカメやアマモなど海藻・海草の種別の吸収量と沿岸部の藻場面積を基に国内全体の吸収量を算定する方法を考案。22年度は、一般家庭約14万世帯分の年間排出量に相当する約36万トンと算定した。2024年1月末の有識者らによる環境省の検討会で正式に確定する。
国内で21年度に植物が吸収したCO2量4760万トンのほとんどは、森林が吸収源。森林は今後、老化で吸収量が減退する見通しで、吸収量全体に占めるブルーカーボンの割合は30年に1割に達するとの試算もある。同省は「海に囲まれた地形をいかし、藻場の造成などブルーカーボンを活用した脱炭素化に努めたい」としている。
読売新聞オンライン記事より抜粋