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ゼネコン大手の鹿島建設は、牛のげっぷに含まれるメタンを減らす効果のある海藻「カギケノリ」の量産技術を開発した。メタンは二酸化炭素(CO2)の約25倍の温室効果があり、世界的に削減が課題となっている。鹿島は今後、酪農家などと連携して研究を進め、牛の飼料として実用化することを目指す。
牛や羊などの反すう動物の胃では、餌を消化する際にメタンが発生し、げっぷとして大気中に排出される。国立環境研究所によると、日本では2021年度にCO2換算で2740万トンのメタンが排出された。このうち、牛などの家畜由来が約3割を占める。
カギケノリは筆の穂先のような形をした紅藻類の一種で、日本を含む太平洋海域に分布する。飼料に混ぜて牛に食べさせると、メタンの発生を抑制して排出量が9割以上減るとの研究結果が海外で報告され、各国で養殖技術の研究が進んでいる。
鹿島は、10~30センチの高さにまで育つカギケノリを採取して1~2ミリに切断し、水温や塩分、光量などを調整しながら陸上の水槽で培養することで、2週間で約4倍の質量に増やすことに成功した。鹿島によると、カギケノリを陸上で量産する技術は国内初という。
昨年4月に2リットルの小型水槽で実験を始め、現在は1000リットルの屋外水槽で量産できるようになった。さらに研究を進め、量産を目指す他社への技術供与などを検討する。
鹿島は1984年に神奈川県葉山町に葉山水域環境実験場を設立し、海洋環境の保全に関する研究を進めているとのこと。
読売新聞オンラインより抜粋