【SCN投稿記事のスタンス】←タッチしてご確認ください。
洋上風力発電施設の建設・保守作業員を育成する訓練施設が2日、長崎市の伊王島で起工した。日本財団(東京)が事業費25億~30億円を全額助成する計画。2026年度までに、船から洋上タワーに乗り移る訓練も開始予定で、これが実現すれば世界初となる。
洋上風力発電は成長産業だが、人材不足がネックとなっている。国内では、作業に従事する上で必須とされる、業界団体GWOの国際認証資格を取得できる訓練施設が少ない。長崎の新施設は、国内にはない羽根部分の点検修理講習も含め、ワンストップで受講できるのが特長だ。
施設を建設・運営するのは、海洋再生可能エネルギー関連産業の集積を目指すNPO法人、長崎海洋産業クラスター形成推進協議会(坂井俊之理事長)。施設名は「NOA(エヌオーエー) TRAINING」。NOAは長崎海洋アカデミーの略。
日鉄鉱業(東京)所有の炭鉱宿舎跡地約3千平方メートルを借り、まず訓練棟として鉄骨2階建て約1150平方メートルを建設。25年度には教室棟を併設する。
計画によると、24年10月に救助や負傷者への応急処置、消防などの基本安全訓練を開講。25年度からは発電現場で設置や点検修理を安全に行うための技能訓練も始める。こうしたGWO認証訓練だけでなく、近くの海域にタワーを建て、船からの移乗訓練も行う。
2日の安全祈願祭には関係者約40人が出席。坂井理事長は取材に「優秀な人材を国内に送り出す拠点となり、洋上風力発電を造船業に続く本県の基幹産業としたい」と述べた。
同協議会は20年、洋上風力発電の技術者専門育成機関NOAを長崎大で開講。これまで全国の電力会社やゼネコンから約750人を受け入れている。
長崎新聞者から抜粋