EV電池材料のリチウム価格が急落

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リチウム生産が世界一の中国市場で、2022年11月には1トン当たり60万元(約1171万円)に迫る過去最高値をつけたリチウムですが、急落しています。広州先物取引所の炭酸リチウムの先物取引では、決済期限が2024年2月以降となる取引の成約価格が1トン当たり20万元(約394万5000円)のラインを軒並み割り込み2022年11月のピーク時の3分の1となってます。

写真は中国リチウム大手の天斉鋰業が開発権益を持つオーストラリアの鉱山

中国自動車市場でのEVの販売が予想を超えて拡大したことを追い風に、リチウム相場は2021年から右肩上がりの高騰を続けました。これはサプライチェーンの川下(に位置するEVメーカーや電池メーカー)で生じた急激な需要拡大に、川上のリチウム鉱山の増産が追いつかなかったことによる短期的な現象だったとのこと。リチウムの埋蔵量は200年以上あると言われているのですから長期的には下落・安定することは予想されていました。また、中国でEV販売の伸び率鈍化に加え、住友金属鉱山が発表した今まで生成できなかった「硫酸塩かん水」からの『リチウム生産期間を大幅に短縮する新技術※下記アドレスに記事』などの登場によりリチウム価格の下落に拍車がかかているとのこと。

住友金属鉱山リチウム採掘1年以上を1週間で可能にする新技術

また、トヨタ自動車が4年後の2027年に10分の充電で1200km走行可能な全個体電池EVの発売するとの発表から、現行EV車販売の買い控えが急速に進んでいるとの見方もあります。加えて中国政府が新エネルギー車の普及促進のための補助金支給を2022年末で打ち切ったこともあり、EVの販売の伸び率鈍化はEVメーカーと電池メーカーの在庫増を招き、電池メーカーは生産調整を余儀なくされています。業界団体のデータによれば、車載電池の2023年1月の生産量は28.2GWh(ギガワット時)と、前年同月比5%減少。前月比では46.3%の大幅な落ち込みとなったとのこと。

短期的にはEV販売が急回復する見込みは薄く、市場関係者はリチウム相場のさらなる下落を見込んでいるとのことで、暫くは市場動向から目が離せないようです。

東洋経済オンライン記事から抜粋

 

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