リチウムは枯渇するのか?埋蔵量は200年以上存在する

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リチウム生産の塩湖

世界中で進んでいる脱ガソリン車の動きによって、電気自動車の開発は加速しており、バッテリーとして使われるリチウムイオン電池の需要も爆発的に増加し始めています。テスラを始め、各自動車メーカーは電池の大幅な増産に踏み切っていますが、それに伴って懸念されているのが原料であるリチウムの資源不足です。

・リチウム資源は枯渇しない

まず前提として、リチウム不足が叫ばれてはいるものの、リチウムが地球上から枯渇することはありません。リチウムの埋蔵量や採掘方法など、リチウム資源の現状から説明します。

・リチウム埋蔵量は200年以上

リチウムの埋蔵量は炭酸リチウム換算で約8400万トン(純リチウム換算で約1600万トン)と言われており、2019年の生産量が38万トンであることから、200年以上の生産に対応できることが分かっています。
また、ボリビアなど埋蔵量としてカウントされていない場所にもリチウムが存在しており、海水にも低濃度ながらリチウムが含まれていることから、実際の埋蔵量はさらに多いです。リチウムの需要増加に伴い、生産量の大幅な増加も予測されていますが、それでも埋蔵量は圧倒的に多いことから、リチウムが枯渇することは無いと言えるでしょう。

・鉱石として各地に点在

現在リチウム生産の主流となっているのは鉱石の採掘です。リチウムはリシア輝石やペグマタイトなどの鉱石に含まれており、チリ、アルゼンチン、ボリビアを始め、様々な地域に鉱石が分布しています。鉱石はリチウムの世界埋蔵量のうち26%程度であり、埋蔵量の割合は比較的低いのですが、すぐに生産が行えるほか、水酸化リチウムへの変換が簡単にできることから、現在のリチウム生産の大半が鉱石の採掘により行われています。

・塩湖のかん水でも生成可能

もう一つのリチウム生産方法は、塩湖のかん水からリチウムを抽出する方法です。海水には低濃度でリチウムが含まれていますが、塩湖は海水の成分が数百倍に凝縮されているため、塩湖の水を天日干しするだけで大量のリチウムが精製できます。天日干しに時間がかかり、炭酸リチウムへの変換を行ってから水酸化リチウムにする必要があるので、現状では採掘より生産量は少ないです。ただ、鉱石より採掘コストが安価であり、埋蔵量も全体の66%を占めているため、今後の生産量は増加していくことが予想されています。

・ただ埋蔵量は充分でも、急激なEV増産による過度な需要増加によるリチウムの供給には不安があります。

それと下記列挙の問題もあり、世界規模での生産計画とサプライチェーン構築が警告されています。

◆中国への依存度の高さの問題
◆リチウムイオン電池に必須のコバルトの資源不足もリチウム以上に深刻
◆コバルトの埋蔵量の少なさと採掘場所が紛争地域に偏在していることへの供給不安
◆コバルトは毒性が強く採掘しにくく、供給増には多くの問題が発生する

対応策とこれからの展望
◆海水からのリチウム精錬技術の開発
◆日本海の深海に眠るコバルトリッチクラフト(現在見つかっているだけでも日本の年間消費量の40年分)の商用採掘の成功
◆コバルト等の入手しにくいレアメタルを使わないリチウムイオン電池の開発
◆リチウム以外(ナトリウム等)の次世代電池の開発

リチウムの埋蔵量は十分にありますが、将来的な需要の増加に供給が追いつかず、調達が難しくなることが懸念されています。リチウムの採掘量を増やす取り組みも行われていますが、コバルトなど、他のレアメタルについても資源不足が叫ばれていることから、レアメタルを使わない電池の開発が急務です。
全固体電池やナトリウムイオン電池など、実用化が始まっている次世代電池もあります。リチウムの採掘による環境破壊なども問題となっているため、レアメタルフリーで革新的な次世代電池の開発が早期に成功し、それが日本で成功・生産されることを強く望みます。

Free Aid記事から抜粋

 

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