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EU(欧州連合)に加盟する27カ国の環境大臣は、2035年までに、欧州域内で販売する乗用のガソリン車/ディーゼル車の新車販売を、事実上禁止する規制案に合意した。
日本のメディアは「欧州は2035年までにHVやPHVを含む全てのエンジン車の販売ができなくなる」と報じている。しかしながら、この合意は、とある妥協案を伴っての合意のようでであり、今後の行方次第では、バッテリーEV化へまっしぐらに進んできた欧州自動車メーカー各社が、方向転換を余儀なくされる可能性もある。「脱炭素」社会を目指す自動車業界の現在と今後について、考察しよう。
EUの方針に、やや軌道修正の可能性がみえた合意
欧州委員会が昨年提出した案は、2035年時点で新車のCO2排出量を100%削減、つまりガソリン車やディーゼル車を販売しないというものだった。
しかし、イタリア、ポルトガル、スロバキア、ブルガリア、ルーマニアの5カ国は、充電インフラを充実させるためには時間が必要であり、また、消費者としても、高額なバッテリーEVを購入するには時間が必要となる、との理由から、削減について2035年時点で90%、2040年時点で100%とするように主張していたという。
長時間の議論の末、EU27か国の環境大臣は、ドイツが提案した「ハイブリッドと(脱炭素を可能にする)代替燃料の気候目標達成効果について、2026年に判断する」という妥協案を含めるかたちで、リミットを2035年として合意。リミットは変わらなかったが、脱炭素に向けてバッテリーEVへの転換を中心にしてきたEUの方針に、やや軌道修正の可能性が見えてきたことになる。燃料は変わるが、エンジン車販売継続の道も、まだ閉ざされていないということだ。
代替燃料
2035年、新車の100%電動化というスローガンは少しずつ変容してきており、ドイツは再生可能な生物資源(バイオマス)を原料にしたバイオ燃料「代替燃料」の提案までしてきている。バイオ燃料は、燃焼するとガソリンなどと同じようにCO2を排出するが、原料となる植物の成長過程において光合成を行うことでCO2を吸収している。化石燃料では排出するだけだが、バイオ燃料は、「排出するけど、燃料をつくる過程で吸収しているから、プラスマイナスゼロだよね」ということだ。
HVやPHVは認めないと言っている割には、「代替燃料」ならOKで、そのままガソリン車を残す道も模索しているのである。やはり欧州は曲者であり、今後とも動向をよく注視しておく必要がありそうだ。
ベストカーWebより抜粋
<追伸>2023/3/6
NEDOで算出した合成燃料の価格、現状ではリッター700円するようで、なかなか厳しいですね。SCN:伊東
↓図参照
たぶんトヨタや日産、ホンダが進めている「全個体電池」を搭載した革新的なEVが販売されると、欧州は臆面もなく純EV推進を捨て、遅れている水素でもなく、バイオ燃料での「代替燃料」で従来通りのエンジン車でOKとし、日本はハシゴを外されるかもしれませんね。彼らはレギュレーションを都合よく変更する組織なので注意深く見ておく必要がありそうです。
SCN:伊東