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これは1月13日に投稿した「大熊町・双葉町・浪江町とトヨタのカーボンニュートラル連携協定について」の続報です。
トヨタ自動車と浪江町、郡山観光交通(郡山市)、再生可能エネルギー関連のエナジア(同)の4者は、水素を燃料とする3種類の燃料電池車(FCV)を使った実証事業に着手する。トヨタ製造のFCVをスクールバス、キッチンカー、商用車とそれぞれ異なる用途で取り入れ、利用時のデータを共有しながら商用化への課題を探る。給電能力を持つFCVの特性を生かし、広域的な災害対応力の強化に向けた利活用モデルの構築も見据える。
トヨタによると、浪江町にスクールバス、郡山観光交通にキッチンカー、エナジアに商用バンを各1台貸与する。水素を燃料とするFCVタイプのスクールバスとキッチンカーの導入は国内初という。
トヨタの担当者は「地域課題の解決や新サービスにつながる(FCVの)活用方法を見いだすのが重要な使命だ」と狙いを強調した。車両は3月にも順次導入され、新年度から実証事業が本格的に始まる。期間は2025年度までの見通し。
浪江町は、なみえ創成小中の児童生徒の登下校のほか、校外学習や土、日曜日の部活動での送迎にスクールバスを活用する。町内を視察する人たちの案内用の車両としても使い「水素タウン」の取り組みをアピールする。約20人乗りという車体のデザインは児童生徒と一緒に考える予定だ。
郡山観光交通は、関連会社「孫の手トラベル」の「フードキャンプ」事業にキッチンカーを充てる。車両にはIHクッキングヒーター3台、オーブン1台を搭載する予定で、こうした機材に電力を使った場合の水素消費量のデータを取得したい考えだ。新たなキッチンカービジネスのモデル化を視野に入れる。
エナジアは、いわき市の支店にFCVのハイエースを営業車として配備。移動中に発電した電気を使って営業先で製品の実演販売に取り組むほか、長距離走行時のデータを計測しながら営業車としての導入可能性を検討する。FCVで発電した電気を建物などに給電する「V2X」と呼ばれるシステムの試験も行う。
災害対応力強化も
4者は、FCVによる災害対応力の強化も目指す。例えば、通信機器の充電基地として活用したり、キッチンカーを避難所などに派遣し、FCVで作った電気で温かい料理を提供したりすることを見込む。スクールバスは通信環境を整えておくことで、行政機関などの「動く災害対策室」となり得るという。
このため3台のFCVを集めての防災訓練を年1度実施する予定だ。トヨタは「平時だけでなく、災害時にもFCVの電力を活用できるかどうかを確かめ、各機関が連携した広域防災の仕組み作りを検討していく」としている。
福島民友ニュースから抜粋