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日本製鉄は昭和電工および6つの国立大学と共同で、低圧かつ低濃度の排出ガスから、効率的にCO2を分離、回収する技術開発を開始したと発表した。1トン当たり2000円台の低コストでの実現を目標とし、2030年代後半の社会実装を目指す。
石油化学コンビナートや製鉄所などから排出される低圧、低濃度の排出ガスは、CO2の分離が難しく、多量のエネルギーを消費するなどの課題がある。今回の研究では、ゼオライトなどの多孔体材料とは異なる「構造柔軟型PCP」を活用。同材料は、その構造が柔軟に変化してCO2分子を取り込むため、CO2に対する高い選択性が期待されている。
構造柔軟型PCPは、特定の圧力でCO2の吸着量が急激に変化する「ゲート吸着」と呼ばれる挙動を特徴とする。ゲート吸着では、CO2の吸着と脱着がわずかな圧力操作で進むため、理論的にも既存材料よりCO2回収時の消費エネルギーを削減できる。
なお、今回の技術開発は、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「グリーンイノベーション基金事業」として採択され、同年10月より本格始動している。両社のほか、大分大学、大阪大学、京都大学、千葉大学、名古屋大学、北海道大学が参画している。昭和電工では、回収後のCO2を化学品の原料として販売するビジネスモデルの構築も進める。
MONOistから抜粋