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国立大学法人筑波大学および九州大学、独立行政法人国立高等専門学校機構鶴岡工業高等専門学校の研究チームらは14日、共同で世界最高レベルの活性を持つ燃料電池用のメタルフリー正極触媒の開発に成功したことを発表した。
水素と酸素からエネルギーを作り出せる水素燃料電池は、カーボンニュートラルを実現する上で重要な技術の1つだが、現在実用化されている水素燃料電池の正極に用いられる白金系の触媒は希少金属であり、水素燃料電池の価格上昇をもたらしている。このため水素燃料電池の普及には白金を使わない触媒の開発が不可欠とされている。
その代わりとなる有力候補としては、炭素材料をベースとし、耐久性も高い窒素ドープカーボン触媒が注目されているのだが、これまで燃料電池セル内の酸性環境下では活性が著しく低下する問題があり、実用上の壁となっていた。
そこで研究チームは、窒素ドープカーボン触媒が酸性環境下で活性が低下するメカニズムを調べたところ、反応進行時の活性点の水和(水溶液中のイオンなどの周囲に水分子が静電的な引力によって引き付けられ安定化すること)が主要因であることを突き止めた。そしてこのメカニズムに基づいて触媒設計を行なったことで、酸性環境下でも白金系触媒に迫る電圧特性と高い電流特性を実現することに成功したという。
制作において、まず酸化グラフェンとNaCL水溶液を混ぜ合わせ、水を蒸発させてNaCLを結晶化、その周りを酸化グラフェンが覆った構造にした。この構造ではグラフェン同士が積み重なることが回避でき、活性点近傍の疎水性を高められる。その後さらにアンモニア雰囲気で加熱して窒素ドープを行ない、NaClを水溶させて取り除き、籠状の隙間を持った窒素ドープグラフェンを得たという。
今回開発した触媒は、メタルフリー触媒としては世界最高レベルの活性であるといい、長時間使用時の特性も非白金系触媒の中でも最高レベルとしている。正極触媒活性を燃料電池セルにおいて引き出せれば、商用化にもつながるとしている。
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