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2030年までに100%カーボンフリー電力での運営を実現するとの目標を掲げているグーグルが2023年11月28日に、「強化地熱システム」を採用した地熱発電所の運転をアメリカ・ネバダ州で開始しました。強化地熱システムを用いた地熱発電所の稼働は世界初とのことです。
グーグルのエネルギーおよび気候担当シニアディレクターのマイケル・テレル氏は、11月28日に公式ブログを更新し、「本日、当社の地熱プロジェクトが稼働し、ネバダ州のデータセンターにつながるローカル送電網にカーボンフリー電力が供給され始めたことを発表できることを嬉しく思います」と述べて、発電プロジェクトが正式に稼働を開始したことを発表しました。
通常の地熱発電は、温泉や間欠泉のような熱水の利用が容易な場所に建設されることが多いため、記事作成時点では世界で生産されるクリーンエネルギーのごく一部に過ぎません。また、地下から水をくみ上げる関係上、地盤沈下などのリスクもあります。
一方、今回ネバダ州で稼働を開始した「Enhanced geothermal systems(EGS:強化地熱システム)」は、乾燥した岩盤に穴を空けて注水し、高温にしてから地表に戻す「人工温泉」で発電するため、地熱はあっても熱水がない場所でも利用可能とされています。また、天候や時間帯に左右されやすい風力発電や太陽光発電に比べて安定したエネルギー供給が可能なほか、特に水が再利用されるという点はネバダ州のように水不足が発生しやすい地域では重要です。
Fervo Energyのティム・ラティマーCEOによると、出力は750世帯分に相当する3.5MW(メガワット)で、当初想定していた5MWに届いていないものの、調整を行えばより高い出力が見込めるとのこと。ラティマー氏は、固い岩盤を地下深くまで掘削するのにかかる初期費用や、十分な熱が得られないリスクと表裏一体の新技術は「エネルギー投資の欠けている中間」だと説明しました。
グーグルは、2023年9月にも別の地熱発電プロジェクトであるProject InnerSpaceとの提携を発表しています。また、Fervo Energyは2026年に400MW規模の地熱発電プロジェクトを稼働させる予定とのこと。
Gigazineニュースより抜粋