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2023年7月3日は、観測史上、地球の平均気温が最も高い日となりました。500軒もの住宅が浸水被害を受けた秋田豪雨、イタリアのローマで41.8度予報、韓国の洪水で40人が死亡などが起きました。世界中で起きている異常気象、2023年の上半期の被害を追います。
1月:南スーダン 歴史的洪水被害で47,700平方キロメートルが浸水
南スーダンでは、4年連続で歴史的な洪水被害が続いています。47,700平方キロメートルもの広大な地域(九州の大きさ42,194平方キロメートルよりも広範囲)が浸水状態にあります。通常12月から2月は1年で最も乾燥する時期ですが、近年は絶え間なく雨が降り続け、河川や湿地帯の水位が一年中高い状態になっています。その影響で、農作物が収穫できず、多くの家畜が死亡しています。南スーダンでは、人口の63%もの人々が食料を安定して手に入れることができず、140万人の子どもたちが栄養失調、290万人が飢餓状態にあると推定されています。洪水の影響は、貧困と低栄養状態の蔓延にさらなる拍車をかけることが懸念されます。
1月-2月:チリ 10年続く「メガ干ばつ」により広がる火災
南米のチリでは、27万ヘクタールもの土地が火災の被害に遭い、これまでに24人が死亡しました。南半球では夏にあたるこの年初の時期に、熱波と強風の影響もあり、急速に火が広がりました。
チリでは、10年以上干ばつが続いており、世界気象機関(WMO)は過去1,000年で最も長い「メガ干ばつ」であるとし、深刻な水資源危機を警告しました。
2月-3月:南東アフリカを襲ったサイクロンが1,000人の命を奪う
2月6日から3月15日、アフリカ南東部のマラウィやモザンビーク、マダガスカル、ジンバブエをサイクロンが襲い、1,000人以上が命を落としました。このサイクロンは、史上最も勢力が強く、最も長い期間猛威を振るったサイクロンとして記録を塗り替えました。
4月:インド・バングラデシュ・タイ 「アジア史上最悪」の熱波
インドやバングラデシュ、そしてタイを記録的な猛暑が襲いました。気候統計学と異常気象を専門にする気候学者マクシミリアーノ・ヘレラが、「アジア史上最悪の4月の熱波」と評した猛暑が各地で深刻な被害を引き起こしています
インドでは6つの都市で44度を超え、子どもたちが熱波によって頭痛などの被害を訴え、西ベンガル州の公立学校が休校を余儀なくされました。バングラデシュでは、首都のダッカで58年間で最も暑い40度を記録、道路の表面が溶け出すほどの猛暑となりましたタイでもターク県で44.6度を観測し、タイ国内の最高記録を更新しました。
国際総合山岳開発センターの気候・環境スペシャリスト、ディープシカ・シャルマ(Deepshikha Sharma)氏は、「人類が引き起こした気候変動が、アジア中で今起きているような猛暑が頻度と凶暴性を増す主要な原因だ」と説明しています。
5月:少数民族ロヒンギャの人々を襲ったサイクロン・モカ
5月には、最大級のカテゴリー5に分類された「サイクロン・モカ」がミャンマーを襲い、少なくとも145人が死亡したと報告されています。被害を受けた多くは、迫害から逃れて難民キャンプで暮らしていた少数民族のロヒンギャの人々でした。
ロヒンギャの人々の難民キャンプは、海抜が低く洪水の影響を受けやすい場所にあり、住んでいたのは耐久年数が2年とされる竹製の長屋でした。難民援助機関は、適切な土地と資材を提供するように要請していましたが、当局はこれを拒否していました。また、ロヒンギャの人々の被害者数は、当局の当初の発表に含まれていませんでした。こうした事実は、世界中で異常気象の被害が増えていることのみならず、弱い立場に置かれている人々が、気候変動の被害を最前線で受けているという不正義をまざまざと物語っています。
5月:イタリア 1日半の間に降った6カ月相当の大雨
イタリアでは5月に、1日半の間に6カ月分に相当する豪雨が降り、20以上の河川が氾濫し、土砂崩れが280個所で発生しました。13人が死亡、何千人もの人々が避難を強いられました。
市民保護大臣のネッロ・ムスメキ氏は、土壌が長期間にわたる乾燥で硬化し、水分を吸収する能力が著しく低下していた、と説明しています。
5月:ルワンダ 災害死者数が史上最多となった洪水
ルワンダ西部の洪水は、130人以上の死者を出しました。ルワンダでは、この時期に大雨が降るのは例年のことですが、5月2日の夜間の雨は非常に激しく、長時間にわたって降り続きました。
地元紙によれば、近年の災害による死者数で最多となった可能性があるとのことです。
6月:日本 台風2号で49名が死傷
6月に日本を襲った台風2号と梅雨前線の影響で、愛知県や静岡県など6県に、長時間にわたって大雨を降らせる線状降水帯が発生しました。
全国で河川の氾濫や土砂崩れが発生し、49名が死傷、被害を受けた家屋は8,000棟を超えました。農産物への被害も深刻で、沖縄だけでも、葉タバコやサトウキビ、野菜などの被害額が7億円にのぼりました。
7月:カナダの森林火災900万ヘクタールが焼失
カナダではこの夏、制御不可能な大規模森林火災が発生しています。7月上旬時点で900万ヘクタールもの森林が焼け(北海道の面積は約834万ヘクタール)、15万5,000人以上の人々が避難しました。
森林火災の煙がカナダだけでなくアメリカにも広がり、シカゴは6月、世界最悪レベルの大気汚染に見舞われました。
カナダ森林局北部森林センター局長マイケル・ノートン氏によれば、干ばつが大きな要因であると考えられ、夏の間さらに高い気温が続けば、国中で例年以上の森林火災が発生する可能性が高いとのことです。
7月:島根県、九州北部、秋田県で記録的大雨
日本では今月、各地で記録的大雨が続いています。8日には中国・北陸地方で、10日には九州北部で、15日には秋田県で、大雨による浸水や土砂崩れの被害が発生しました。
鳥取県では、短時間の間に強い雨を降らせる線状降水帯が発生し、土砂崩れにより出雲市の410世帯900人が一時孤立しました。九州では、特に福岡県、大分県、佐賀県で、線状降水帯が相次いで発生し、6人が死亡、3人が行方不明となりました。秋田県では、河川の氾濫が相次ぎ、1,400人が避難し、断水や停電も起きています。
「自然災害」で終わらせてはいけない
2023年の上半期だけで全世界ではこれだけの異常気象が猛威を振るいました。これを自然現象だとし、新しい日常として受け入れて、諦めてしまっていいのでしょうか?産業革命以降、地球の温度はすでに1.1度上昇し、その分猛暑の気温は底上げされ、干ばつにより森林火災は加速し、豪雨の雨量がますます増えています。私たちは確かに、気候危機の世界を生きているのです。しかし、これ以上の温暖化を止め、今よりもさらに異常気象が激化することを抑えることはできます。。。。
グリーンピースのコラムから抜粋
異常気象で取り上げられていたので掲載しましたが、よく見ると異常気象と言うより、今年の上半期に世界で起こった災害記事だと思います。
ことさらに異常気象と断定して、不確かで効果が見えずらい温室効果ガス(CO2等)の削減のみに騒ぐのはいかがなものかと思います。
人類は古今東西、防ぎようのない天災の中で暮らしてきたと認識しています。相手は地球規模の大自然であり、何が異常気象なのかさえ明確ではありません。
温室効果ガス(CO2等)を削減すれば異常気象を抑えられるというのは、短絡的で傲慢な思考かもしれないと考えています。
私くし的には変動する環境を予測し、災害に備え、可能な限りの被害の最小化と迅速な復興手段を準備しておくことが人類に出来る最適解だと思うのですが、皆さんはどうお感じになられましたか?SCN:伊東