デンソーと大成建設、CO2回収システムで異業種共同技術検証開始

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~建物内の空調設備でCO2を効率的に回収・利活用~

CO2回収システムイメージ

株式会社デンソーと大成建設株式会社は、大成建設技術センター(横浜市戸塚区)内にある「人と空間のラボ」において、デンソーが開発したCO2回収システムを用いてCO2を効率的に回収し、利活用する共同技術検証を本年9月より開始するとのこと。

デンソーのCO2回収システムは、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)によるグリーンイノベーション(GI)基金事業で開発を進めている技術の一部を活用しています。本案件は、室内の空調設備を対象としており、GI基金事業で対象とする工場排ガス等のCO2濃度(~10%程度)と比較しCO2濃度(0.04~0.1%程度)がより低くなります。そのため、空調設備からのCO2回収はGI基金事業とは異なる研究開発要素があり、本案件はその検証を行うものです。なお、GI基金事業における開発テーマは次のとおり。「CO2の分離回収等技術開発/低圧・低濃度CO2分離回収の低コスト化技術開発・実証/工場排ガス等からの中小規模CO2分離回収技術開発・実証/低濃度・分散排出源CO2の分離回収技術開発」 としています。

本検証では、大成建設技術センター内にある「人と空間のラボ(ZEB実証棟)」の会議室の空調設備に、デンソー製のCO2回収システムを組み込みます。本システムは「電界式」と呼ばれるCO2回収技術を採用しています。「電界式」は、電極に電気を流してCO2を吸着させ、その電圧を変えることで離脱させ回収する方式です。「電界式」にはデンソーが、自動車部品製造で培った排気ガスに含まれる有害物質を除去・浄化するために開発した、触媒やセンサーなどの技術が生かされており、高効率な回収とシステムの小型化を実現しています。さらに、必要なCO2回収量によって設置台数を調整することができ、顧客のニーズに柔軟に対応することが可能になるとのこと。

技術検証概要 (会議室使用時)
技術検証概要 (会議室未使用時)

本システムの適用により、会議室使用時の排気からCO2を回収し、CO2濃度の低い空気を再度会議室内に給気します。また、会議室未使用時は、大気中のCO2を外気から回収します。回収したCO2は環境配慮コンクリート「T-eConcrete」に固定する室内環境のトータルなカーボンニュートラルを目指すとのこと。
※「T-eConcrete」とは大成建設が開発したセメントを全く使用せず、CO2を吸収したカーボンリサイクル製品を、高炉スラグと特殊な反応剤を用いて固めます。
コンクリート内部にCO2を固定することにより、CO2排出量(吸収・排出の収支)をマイナスする技術です。

今回の検証では、CO2回収は空調機容量の一部のみに適用されますが、将来的には設計や運転方法の改良などにより、空調機の全排気量からのCO2回収を目指すとのこと。

DENSOニュースリリースより抜粋

 

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